RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

読了-アメリカ文学

『もしもし(VOX)』ニコルソン・ベイカー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 全編これ二人の男女の電話の会話からなるおかしなおかしな「電話小説」。しかもこの電話は会員制のセックス・テレホン。二人は想像力の限りをつくして自分たちが何にいちばん興奮するかを語り合う!全米でベ…

『カラーパープル』アリス・ウォーカー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 20歳の娘セリーは、名も知らないミスター**のもとへ嫁がされ、夫の暴力の下で毎日を耐えていた。愛する妹はセリーの夫に襲われ、失意のままアフリカへ渡った。アフリカン・アメリカン社会の差別、暴力、神…

『神々自身』アイザック・アシモフ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 西暦2070年、タングステンと交換に〈平行宇宙〉からプルトニウム186がもたらされることが判明した。われわれの宇宙に存在しないこの物質は、無公害で低コスト、しかも無尽蔵のエネルギー源として歓迎され、…

『ママ・アイラブユー』ウィリアム・サローヤン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 あたしの名前はキラキラヒメ。ニューヨーク・ジャイアンツのエースを日指す九歳の女の子。パパと別れてプロードウェイのスター女優を夢見るママ・ガールに連れられて、ある夜突然、カリフォルニアからニュー…

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 焚書官モンターグの仕事は、世界が禁じている〝本〟を見つけて焼き払うことだった。本は忌むべき禁制品とされていたのだ。人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビを通して与えられるものを無条件に受け…

『優雅な獲物』ポール・ボウルズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 カポーティ、マキナニー、オーネット・コールマン、ベルトリッチ……遥かモロッコから、現代芸術に常に豊かな霊感を送り続けるアメリカ文学界の隠者。80年代に入り、ブームとも言える再評価が行われ、全作品が…

『病気の通訳』(停電の夜に)ジュンパ・ラヒリ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 闇につつまれたキッチンをほのかに照らす蝋燭の灯り。停電の夜ごと、秘密の話を打ち明けあった二人は、ふたたびよりそって生きることができるのか。──表題作ほか、O・ヘンリー賞受賞の「病気の通訳」等全九…

『黄金虫変奏曲』リチャード・パワーズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。1957年、遺伝暗号の解…

『哀詩 エヴァンジェリン』ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十八世紀半ばの北米。英仏の植民地争奪戦により引き裂かれた恋人たちが、互いを探し求め、すれ違う悲しい運命を描いた物語詩。 十七世紀末よりイギリスとフランスによって引き起こされた英仏植民地戦争は、…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 第三次対戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた〈奴隷〉ア…

『海からの贈物』アン・モロー・リンドバーグ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 女はいつも自分をこぼしている。そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。い心地よさそうに掌に納まり、美しい螺旋を描く、この小…

『アンセム』アイン・ランド 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説。集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、…

『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン 感想と一日一篇

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 知る人ぞ知る優れた短篇作家、アメリカで守られ続ける文学の秘密、など幾つもの肩書きを持つルシア・ベルリン(1936-2004)ですが、世界的な評価を受けるに至ったのは、つい最近の2015年になってからでした…

『誰がために鐘は鳴る』アーネスト・ヘミングウェイ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 全ヨーロッパをおおわんとするファシズムの暗雲に対し、一点の希望を投げかけたスペイン内戦。1936年に始まったこの戦争を舞台に、限られた生命の中で激しく燃えあがるアメリカ青年とスペイン娘との恋を、ダ…

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 感想

こんにちは。 RIYOです。今回はこちらの作品です。 名刺の住所は「旅行中」、かわいがっている捨て猫には名前をつけず、ハリウッドやニューヨークが与えるシンデレラの幸運をいともあっさりと拒絶して、ただ自由に野鳥のように飛翔する女ホリー・ゴライトリ…

『お月さまへようこそ』ジョン・パトリック・シャンリィ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 映画『月の輝く夜に』でアカデミー脚本賞を受賞したジョン・パトリック・シャンリィ、初の戯曲集。ニューヨークを舞台にして、人間同士の心のかよいあいを中心にくりひろげられる現代のメルヘン。 南北戦争…

『夢みる宝石』シオドア・スタージョン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。水晶たちが夢をみるとき、人や動物や植…

『雪のひとひら』ポール・ギャリコ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 雪のひとひらは、ある冬の日に生まれ、はるばるとこの世界に舞いおりてきました。それから丘を下り、川を流れ、風のまにまにあちこちと旅を続けて、ある日……愛する相手に出会いました。ひとりが二人に、二人…

『北回帰線』ヘンリ・ミラー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 〝ぼくは諸君のために歌おうとしている。すこしは調子がはずれるかもしれないが、とにかく歌うつもりだ。諸君が泣きごとを言っているひまに、ぼくは歌う。諸君のきたならしい死骸の上で踊ってやる〟その激越…

『秘密の花園』フランシス・ホジソン・バーネット 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 両親を亡くし、ヨークシャーの伯父にひきとられた少女メアリー。やせっぽちで顔色の悪かった彼女が温かい人々、輝く太陽、澄んだ空気に触れるうち、バラ色の頬をした快活な少女に生まれ変わっていきます。荒…

『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の毎日。それでも、人のいいチャーリイ…

『チャリング・クロス街84番地』ヘレーン・ハンフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ニューヨークに住む本好きの女性がロンドンのチャリング・クロス街84番地にある古書店マーク社にあてた一通の手紙からはじまった二十年にわたる心暖まる交流。ここで紹介される〝本好き〟の書物を愛する…

『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 時の流れの呪縛から解き放たれたビリー・ピルグリムは、自分の生涯を未来から過去へと遡る、奇妙な時間旅行者になっていた。大富豪の娘との幸福な結婚生活を送り……異星人に誘拐されてトラルファマドール星…

『アメリカの鱒釣り』リチャード・ブローティガン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ビート・ジェネレーションの代表的な作家として本国でもヒッピーたちに祭り上げられたリチャード・ブローティガン。彼が世に放った話題作、それを革命的な翻訳で原文以上の魅力を日本に伝えたとされる藤本…

『夜歩く』ジョン・ディクスン・カー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 「密室派の総帥」「密室の王者」などの異名を持つ偉大な推理小説家ジョン・ディクスン・カー(1906-1977)。そのデビュー作である『夜歩く』です。 パリの予審判事アンリ・バンコランは、剣の名手と名高い…

「グラース・サーガ」J・D・サリンジャー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品群です。 ニューヨークに生まれたユダヤ人作家ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(1919-2010)が『ライ麦畑でつかまえて』の後に世に放った、連作短中篇で描く物語「グラース・サーガ」と呼ばれる作品群です…

『ジョヴァンニの部屋』ジェイムズ・ボールドウィン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 キング牧師と同様にアメリカの公民権運動(人種差別撤廃)に参加し、その後フランスのパリにて「失われた世代」の系譜としても活躍した、黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンの同性愛劇を描いた『ジョヴァ…

『沈黙の春/センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回は二作品をまとめてご紹介します。 環境運動の先駆けとなり全世界へ影響を与えたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』、その自然を見つめる感性の必要性や重要性を次代へ託す『センス・オブ・ワンダー』です。 沈黙の春 自然を破…

『夜の森』デューナ・バーンズ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 デューナ・バーンズ『夜の森』です。デカダン派女流作家として小説・戯曲などで活躍した作家です。T・S・エリオットが絶賛し、この作品の「序文」を書いています。 両大戦間のベルリン、ウィーン、パリ、ニ…

『グレート・ギャツビー』F・スコット・フィッツジェラルド 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』です。 ロストジェネレーションの盛衰を、公私共に歩んだ作家の代表作です。 豪奢な邸宅に住み、絢爛たる栄華に生きる謎の男ギャツビーの胸の中に…

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