RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

読了-アメリカ文学

『今日は死ぬのにもってこいの日』ナンシー・ウッド 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 いつか、どこかで、また会おう。大地に根ざして年を重ねたインディアンたちの大らかで、重みのある言葉──心の糧として、あなたに何度も噛みしめてほしい。本書は、1974年にアメリカで出版されて以来、世界中…

『白鯨』ハーマン・メルヴィル 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 巨大な白い鯨〈モービィ・ディック〉をめぐって繰り広げられる、アメリカの作家メルヴィルの最高傑作。本書は海洋冒険小説の枠組みに納まりきらない、法外なスケールとスタイルを誇る、象徴性に満ちあふれた…

『タイタンの妖女』カート・ヴォネガット・ジュニア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 時空を超えたあらゆる時と場所に波動現象として存在する、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、神のような力を使って、さまざまな計画を実行し、人類を導いていた。その計画で操られる最大の受難者が、…

『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、傷心の日々を過ごすなかで、彼は書店にちいさな子ども…

『無伴奏ソナタ』オースン・スコット・カード 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 生後6ヵ月でリズムと音程への才能を認められ、2歳にして音楽の天才と評されたクリスチャン。人里離れた森の奥で、いっさいの人工的な音から遮断され、ただ鳥の声や風の歌声だけを聴いて育った彼は……表題作ほ…

『あしながおじさん』ジーン・ウェブスター 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 お茶目で愛すべき孤児ジルーシャに突然すてきな幸福が訪れた。月に一回、学生生活を書き送る約束で、彼女を大学に入れてくれるという親切な紳士が現われたのだ。彼女はその好意にこたえて、名を明かさないそ…

『パルプ』チャールズ・ブコウスキー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 バーと競馬場に入りびたり、ろくに仕事もしない史上最低の私立探偵ニック・ビレーンのもとに、死んだはずの作家セリーヌを探してくれという依頼が来る。早速調査に乗り出すビレーンだが、それを皮切りに、い…

『喪服の似合うエレクトラ』ユージン・オニール 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 二〇世紀アメリカを代表する劇作家オニールの最高傑作。ギリシア悲劇の筋立てを南北戦争後のニュー・イングランドに移し、父母姉弟の錯雑した愛憎を描く迫真のドラマ。 ユージン・オニール(1888-1953)は…

『若草物語』ルイザ・メイ・オルコット 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 虚栄心はあるが温順で信心深い長女メグ、独立心が強く活発な次女ジョ一、心優しくはにかみやの三女ベス、無邪気でおしゃれな四女エミイ──ニューイングランドに住むマーチ家の四人姉妹は、南北戦争に従軍した…

『夏への扉』ロバート・アンスン・ハインライン 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。1970年12月3日、このぼくもまた夏への扉を探していた。最愛の…

『青い眼がほしい』トニ・モリスン 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 黒人の少女クローディアが語る、ある友だちの悲劇──。マリゴールドの花が咲かなかった秋、クローディアの友だち、青い目にあこがれていたピコーラはみごもった。妊娠させたのはピコーラの父親。そこに至るま…

『ある奴隷少女に起こった出来事』ハリエット・アン・ジェイコブズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身籠ることを──。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は…

『幽霊たち』ポール・オースター 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、…

『もしもし(VOX)』ニコルソン・ベイカー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 全編これ二人の男女の電話の会話からなるおかしなおかしな「電話小説」。しかもこの電話は会員制のセックス・テレホン。二人は想像力の限りをつくして自分たちが何にいちばん興奮するかを語り合う!全米でベ…

『カラーパープル』アリス・ウォーカー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 20歳の娘セリーは、名も知らないミスター**のもとへ嫁がされ、夫の暴力の下で毎日を耐えていた。愛する妹はセリーの夫に襲われ、失意のままアフリカへ渡った。アフリカン・アメリカン社会の差別、暴力、神…

『神々自身』アイザック・アシモフ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 西暦2070年、タングステンと交換に〈平行宇宙〉からプルトニウム186がもたらされることが判明した。われわれの宇宙に存在しないこの物質は、無公害で低コスト、しかも無尽蔵のエネルギー源として歓迎され、…

『ママ・アイラブユー』ウィリアム・サローヤン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 あたしの名前はキラキラヒメ。ニューヨーク・ジャイアンツのエースを日指す九歳の女の子。パパと別れてプロードウェイのスター女優を夢見るママ・ガールに連れられて、ある夜突然、カリフォルニアからニュー…

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 焚書官モンターグの仕事は、世界が禁じている〝本〟を見つけて焼き払うことだった。本は忌むべき禁制品とされていたのだ。人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビを通して与えられるものを無条件に受け…

『優雅な獲物』ポール・ボウルズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 カポーティ、マキナニー、オーネット・コールマン、ベルトリッチ……遥かモロッコから、現代芸術に常に豊かな霊感を送り続けるアメリカ文学界の隠者。80年代に入り、ブームとも言える再評価が行われ、全作品が…

『病気の通訳』(停電の夜に)ジュンパ・ラヒリ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 闇につつまれたキッチンをほのかに照らす蝋燭の灯り。停電の夜ごと、秘密の話を打ち明けあった二人は、ふたたびよりそって生きることができるのか。──表題作ほか、O・ヘンリー賞受賞の「病気の通訳」等全九…

『黄金虫変奏曲』リチャード・パワーズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。1957年、遺伝暗号の解…

『哀詩 エヴァンジェリン』ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十八世紀半ばの北米。英仏の植民地争奪戦により引き裂かれた恋人たちが、互いを探し求め、すれ違う悲しい運命を描いた物語詩。 十七世紀末よりイギリスとフランスによって引き起こされた英仏植民地戦争は、…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 第三次対戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた〈奴隷〉ア…

『海からの贈物』アン・モロー・リンドバーグ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 女はいつも自分をこぼしている。そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。い心地よさそうに掌に納まり、美しい螺旋を描く、この小…

『アンセム』アイン・ランド 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説。集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、…

『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン 感想と一日一篇

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 知る人ぞ知る優れた短篇作家、アメリカで守られ続ける文学の秘密、など幾つもの肩書きを持つルシア・ベルリン(1936-2004)ですが、世界的な評価を受けるに至ったのは、つい最近の2015年になってからでした…

『誰がために鐘は鳴る』アーネスト・ヘミングウェイ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 全ヨーロッパをおおわんとするファシズムの暗雲に対し、一点の希望を投げかけたスペイン内戦。1936年に始まったこの戦争を舞台に、限られた生命の中で激しく燃えあがるアメリカ青年とスペイン娘との恋を、ダ…

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 感想

こんにちは。 RIYOです。今回はこちらの作品です。 名刺の住所は「旅行中」、かわいがっている捨て猫には名前をつけず、ハリウッドやニューヨークが与えるシンデレラの幸運をいともあっさりと拒絶して、ただ自由に野鳥のように飛翔する女ホリー・ゴライトリ…

『お月さまへようこそ』ジョン・パトリック・シャンリィ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 映画『月の輝く夜に』でアカデミー脚本賞を受賞したジョン・パトリック・シャンリィ、初の戯曲集。ニューヨークを舞台にして、人間同士の心のかよいあいを中心にくりひろげられる現代のメルヘン。 南北戦争…

『夢みる宝石』シオドア・スタージョン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。水晶たちが夢をみるとき、人や動物や植…

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