RIYO BOOKS

RIYO BOOKS

主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『少女ムーシェット』ジョルジュ・ベルナノス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 死んでゆく少女への哀歌。スペイン戦争の暴力と悲惨を目撃した巨匠ベルナノスがその憤りを芸術として結晶させた珠玉の傑作。 普仏戦争に敗北したフランス第三共和政は資本輸出を中心に金策を図り、急速に国…

『怒りについて』ルーキウス・アンナエウス・セネカ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 古代ローマにおける屈指のモラリストであり、死の間際まで徳を積み続けたルーキウス・アンナエウス・セネカの初期の著作『怒りについて』です。 ネロー帝に仕える宮廷の生と自決の死ーー帝国の繁栄と矛盾し…

『マシーン日記』松尾スズキ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 映画『クワイエットルームにようこそ』の原作、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』脚本などに加え、自身の手掛ける演劇で時代を問わず幅広く魅了し続けている松尾スズキ。その戯曲『マシーン日記…

『ジョヴァンニの部屋』ジェイムズ・ボールドウィン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 キング牧師と同様にアメリカの公民権運動(人種差別撤廃)に参加し、その後フランスのパリにて「失われた世代」の系譜としても活躍した、黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンの同性愛劇を描いた『ジョヴァ…

『ヤルタ会談』平田オリザ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回は演劇台本です。 劇団青年団の主催者である劇作家・演出家の平田オリザは、現代口語演劇理論を提唱し、「組織と個人」を問題提起する多数の作品を生み出しています。今回はその中における傑作のひとつ、『ヤルタ会談』です。 第…

『赤鬼』野田秀樹 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 演劇企画制作会社NODA・MAPの創立者にして、演出・劇作家、そして俳優として活躍する野田秀樹。なかでも、海外公演をバンコク・ロンドン・ソウルで展開し、各地の俳優とそれぞれの文化を融合させてグローバ…

『月と六ペンス/ノア・ノア』サマセット・モーム/ポール・ゴーギャン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの2作品です。 晩年をタヒチで過ごし、死後に才能を称えられた総合主義・象徴主義を代表する画家ポール・ゴーギャン。その紀行文『ノア・ノア』と、彼の資質や魂を原型に、芸術を真に追い求める奇異な一人の画家を描いた…

『芸術作品の根源』マルティン・ハイデッガー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 実存哲学における代表的なドイツの哲学者マルティン・ハイデッガーの後期における思索の転換的作品『芸術作品の根源』です。 芸術作品は、日常生活に回収される道具と異なり、世界と大地との亀裂の狭間に真…

『国家』プラトン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 西洋哲学の核になる人物であり、以後の哲学者たちへ影響を与え続ける古代ギリシャの哲人プラトン。彼の師であるソクラテスを語り手とし、対話形式で進められる多くの主著のひとつ『国家』です。 ソクラテス…

『密林の語り部』マリオ・バルガス=リョサ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 ラテンアメリカ文学を牽引し続けるペルー出身のマリオ・バルガス=リョサ。民話と現実を行き来する文体で魂の在り方を訴える大作『密林の語り部』です。 都会を捨て、アマゾンの密林の中で未開部族の<語り…

privacy policy