RIYO BOOKS

RIYO BOOKS

主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

読了-ロシア文学

『クロイツェル・ソナタ』レフ・トルストイ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 転換期以後トルストイの最も円熟した時代に於ける代表作。同名の名曲を聴いた感銘を創作上に表現した傑作。嫉妬のため妻を殺した男の告白を通して、この惨劇が如何なる理由で行われなければならなかったかを…

『オネーギン』アレクサンドル・プーシキン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 純情可憐な少女タチヤーナの切々たる恋情を無残にも踏みにじったオネーギン。彼は後にタチヤーナへの愛に目覚めるが、時すでに遅く、ついに彼の愛が受け入れられることはなかった……。バイロン的な主人公オネ…

『デカブリストの妻』ニコライ・ネクラーソフ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 十九世紀、ツァーリの圧政に抵抗し酷寒のシベリアへ流されたデカブリスト。その妻たちの美しい愛情をうたい上げた長篇叙事詩。 十六世紀より続いた皇帝(ツァーリ)による専横政治によって、ロシアでは上流…

『アンナ・カレーニナ』レフ・トルストイ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 アンナは兄のオブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埒で散漫だった力が、ある…

『毒の園』フョードル・ソログープ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 ロシア前期象徴主義を代表する詩人・作家ソログープ。影絵やかくれんぼに夢中になる少年少女たち…..。汚濁に染まらない者たちは美しいまま醜い現実によって死んでいく。夢と現実の交錯、美と醜、生と死の対…

『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 父親フョードル・カラマーゾフは、圧倒的に粗野で精力的、好色きわまりない男だ。ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人兄弟が家に戻り、その父親とともに妖艶な美人をめぐって繰り広げる葛藤。アリョーシャ…

『赤い花・信号/他』フセーヴォロト・ガルシン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ロシアにおいて絶対的な善を抱き、社会に苦悩し、短い生涯を終えたフセーヴォロト・ガルシンの代表作『赤い花』です。他に5篇が収録されており、この旺文社文庫には『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』という…

『われら』エヴゲーニイ・ザミャーチン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 エヴゲーニイ・ザミャーチンの代表作にして問題作『われら』です。当時のロシア情勢や政治の変革を風刺し、近年まで世に姿を見せなかった作品です。 20世紀ソヴィエト文学の「異端者」ザミャーチン(1884-…

『時のざわめき』オシップ・E・マンデリシュターム 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ソビエトの闇に深く閉じ込められ、不当で非業の死を遂げたオシップ・E・マンデリシュターム。彼の残した、残すことができた僅かな作品の一つである『時のざわめき』です。 『時のざわめき』は、過去につい…

『巨匠とマルガリータ』ミハイル・ブルガーコフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』です。近代ロシア文学の「奇書」とされる作品です。 春のモスクワに降り立つ悪魔、灼熱のゴルゴダと名無しの巨匠。首は転がり、黒猫はしゃべり、ルーブル札が…

『かもめ・ワーニャ伯父さん』アントン・チェーホフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 アントン・チェーホフ『かもめ』『ワーニャ伯父さん』です。チェーホフ四大劇に数えられる二作品。戯曲です。 恋と名声にあこがれる女優志望の娘ニーナに、芸術の革新を夢見る若手劇作家と、中年の流行作家…

『スペードの女王/ベールキン物語』アレクサンドル・プーシキン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 ロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンの『スペードの女王』と短篇5作をまとめた『ベールキン物語』です。手元には旧装丁の赤帯がありますので、こちらの紹介文を記載します。 トランプの秘密に憑…

『地下室の手記』フョードル・ドストエフスキー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 極端な自意識過剰から一般社会との関係を絶ち、地下の小世界に閉じこもった小官吏の独白を通して、理性による社会改造の可能性を否定し、人間の本性は非合理的なものであることを主張する。人間の行動と無…

『父と子』イワン・ツルゲーネフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 「ニヒリスト」という言葉はこの作品から広まったーー自然科学以外の一切を信用せず、伝統的な道徳や信仰、芸術、社会制度を徹底的に批判するバザーロフ青年。年寄りは時代遅れで役立たずだと言い切る新世…

『はつ恋』イワン・ツルゲーネフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 16歳のウラジーミルは、別荘で零落した公爵家の年上の令嬢ジナイーダと出会い、初めての恋に気も狂わんばかりの日々を迎えるが……。青春の途上で遭遇した少年の不思議な〝はつ恋〟のいきさつは、作者自身…

『イワン・デニーソヴィチの一日』アレクサンドル・ソルジェニーツィン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 アレクサンドル・ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』です。ソビエトの「雪解け」時代、スターリニズム批判、ノーベル文学賞受賞。真にロシアを思い、強いキリストへの信仰心を持った文学…

『白痴』フョードル・ドストエフスキー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 フョードル・ドストエフスキー『白痴』です。この作品は「真に美しい肯定的な人間を描く」ことを動機に書かれたものです。 高貴な人間は道化の姿をしているーーロシア社会の混沌の中にあらわれた純粋で無垢…

『外套・他』ニコライ・ゴーゴリ 感想・読み比べ

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちら。 ニコライ・ゴーゴリ「外套」です。この訳本はもう手に入らないかもしれません。個人的にこの講談社文芸文庫が一番楽しむことができました。訳者は吉川宏人、名訳です。 我々はみなゴーゴリの<外套>から出てきた…

『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 ドストエフスキー『罪と罰』です。トルストイと並ぶ19世紀ロシアのリアリズム文学代表作家。1866年にこの作品は世に出ました。 鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善…

『青い脂』ウラジーミル・ソローキン 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 ロシアのモダン作家ウラジーミル・ソローキンの『青い脂』です。第三回Twitter文学賞海外部門第一位を受賞しています。 2068年、クローン文学作家を用いた実験が行われている。今回はロシア文学作家、7人の…

privacy policy