RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

読了

『秘密の花園』フランシス・ホジソン・バーネット 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 両親を亡くし、ヨークシャーの伯父にひきとられた少女メアリー。やせっぽちで顔色の悪かった彼女が温かい人々、輝く太陽、澄んだ空気に触れるうち、バラ色の頬をした快活な少女に生まれ変わっていきます。荒…

『ベートーヴェンの生涯』ロマン・ロラン 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 少年時代からベートーヴェンの音楽を生活の友とし、その生き方を自らの生の戦いの中で支えとしてきたロマン・ロラン(1866-1944)によるベートーヴェン賛歌。二十世紀の初頭にあって、来るべき大戦の予感の…

『河鍋暁斎』ジョサイア・コンドル 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 幕末明治期の天才画家河鍋暁斎。その群を抜いた画力に惹かれた弟子の中には、かの鹿鳴館の設計者コンドルがいた。「暁英」の画号を持つ愛弟子が、親しく接した師の姿と、文明開化の中で廃絶した日本画の技法…

『リア王』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実…

『あのころはフリードリヒがいた』ハンス・ペーター・リヒター 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ヒトラー政権下のドイツ。人々はしだいに反ユダヤの嵐にまきこまれてゆくーーその時代に生き、そして命をおとしたひとりのユダヤ人少年フリードリヒの悲劇の日々を、ドイツ人少年の目から克明に描いた話題作…

『クォ ヴァディス』ヘンリク・シェンキェヴィチ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 シェンキェヴィチは、古代の異教徒的世界とキリスト教世界との抗争を描き、後者の勝利の必然性を暗示した。しかし作者の究極の目的は、当時独立を奪われ、列強の圧制に苦しんでいたポーランドの同胞に、希望…

『富士』武田泰淳 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 秘密の重い扉が開かれるとき、一抹の暗い不安と不思議な幅をもった恐怖を私達は覚えるけれども、さて、いま心の秘密の扉が開かれる。《心の秘密》ーーその頑強な扉を敢えて開くことは底知れぬ恐怖にほかな…

『ダイヤモンド広場』マルセー・ルドゥレダ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 三十以上の言語に翻訳されている、世界的名作。現代カタルーニャ文学の至宝と言われる。スペイン内戦の混乱に翻弄されるひとりの女性の愛のゆくえを、散文詩のような美しい文体で綴る。「『ダイヤモンド広…

『オセロー』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ムーア人の勇敢な将軍オセローは、サイプラス島の行政を任され、同島に赴く。副官に任命されなかったことを不満とする旗手イアーゴーは、策謀を巡らせて副官を失脚させた上、オセローの妻デズデモーナの不…

『蠅の王』ウィリアム・ゴールディング 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。大人のいない島での暮らしは、当初はきままで楽しく感じられた。しか…

『C神父』(蠱惑の夜)ジョルジュ・バタイユ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 つねに鋭い人間探求をめざしつつエロスと死の深淵にさまよい、特異な文学世界を創りあげた奇才バタイユの全貌をここに集大成。バタイユは燃え上がる。この彗星は、今夜もまた、ヘーゲルとニーチェの傍をよ…

『モモ』ミヒャエル・エンデ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語。時間に追われ、人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に、風変りな少女モモが時間の真の意味を気づかせます。町…

『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の毎日。それでも、人のいいチャーリイ…

『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野…

『悲しみよ こんにちは』フランソワーズ・サガン 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 太陽がきらめく、美しい南仏の海岸を舞台に、青春期特有の残酷さをもつ少女の感傷にみちた好奇心、愛情の独占欲、完璧なものへの反撥などの微妙な心理を描く。発表と同時に全世界でベストセラーとなり、文…

『若き詩人への手紙/若き女性への手紙』ライナー・マリア・リルケ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 『若き詩人への手紙』は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。『若き女性への手紙』は、教養に富む若き女性が長…

『オイディプス王』ソポクレス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 オイディプスが先王殺害犯人の探索を烈しい呪いの言葉とともに命ずる発端から恐るべき真相発見の破局へとすべてを集中させてゆく緊密な劇的構成。発端の自信に満ちた誇り高い王オイディプスと運命の逆転に…

『ユートピアだより』ウィリアム・モリス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 目覚めるとそこは二十二世紀のロンドンーー緑かがやき、水は澄み、「仕事が喜びで、喜びが仕事になっているくらし」。社会主義者・美術工芸家モリスの実践と批判、理想と希望が紡ぐ物語。ユートピアの風を…

『法王庁の抜け穴』アンドレ・ジイド 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 無償の行為を実践して意味なき殺人をするラフカディオ、奇蹟により改宗したアンティムの破綻、地下室に幽閉されている法王を救い出すためと称して詐欺を働くプロトス……。複雑多岐な事件の発展の中に、人間…

『ジーキル博士とハイド氏』ロバート・ルイス・スティーヴンソン 感想

こんにちは。 RIYOです。 今回はこちらの作品です。 医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキルの家に、いつのころからかハイドと名乗る醜悪な容貌の小男が出入りするようになった。人間の心にひそむ善と悪の闘いを二人の人物に象徴させ、“二重人格”の代名…

『肉体の悪魔』レイモン・ラディゲ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 青年期の複雑な心理を、ロマンチシズムへの耽溺を冷徹に拒否しつつ仮借なく解剖したラディゲ16歳から18歳のときまでの驚くべき作品。第一次大戦のさなか、戦争のため放縦と無力におちいった少年と人妻との…

『雨のしのび逢い』マルグリット・デュラス 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 若い未婚の女性は結婚に憧れている。だが、若い女性たちの夢見ているほど、安定したものだろうか。また純粋な状態のものだろうかーーこうした疑いを抱いた方はこの小説を読まれるといい。この小説の主題は…

『チャリング・クロス街84番地』ヘレーン・ハンフ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ニューヨークに住む本好きの女性がロンドンのチャリング・クロス街84番地にある古書店マーク社にあてた一通の手紙からはじまった二十年にわたる心暖まる交流。ここで紹介される〝本好き〟の書物を愛する…

『クリスマス・カロル』チャールズ・ディケンズ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マアレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉…

『死霊』埴谷雄高 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 1895年、日本は日清戦争が終結し台湾の統治権を得ました。以後の約五十年間、日本の植民地として扱われました。日本の統治を阻む台湾住民は五年のあいだ抗います。そして一万人以上の現地人が虐殺されまし…

『パリ左岸のピアノ工房』サド・E・カーハート 感想

こんにちは。RIYOです 今回はこちらの作品です。 記憶の底からよみがえる、あの音。鍵盤の感触、どこでピアノのことをわすれてしまったのだろう?愛情あふれるパリの職人に導かれ、音楽の喜びを取り戻した著者が贈る、切なくも心温まる傑作ノンフィクション。…

『オンディーヌ』ジャン・ジロドゥ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 浅利慶太さんが劇団四季の運営を離れ「浅利演出事務所」として始動した初めの作品、現代フランス演劇を代表する劇作家ジャン・ジロドゥ(1882-1944)の『オンディーヌ』です。 舞台は遠い世の昔から神秘な…

『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア 感想

こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 時の流れの呪縛から解き放たれたビリー・ピルグリムは、自分の生涯を未来から過去へと遡る、奇妙な時間旅行者になっていた。大富豪の娘との幸福な結婚生活を送り……異星人に誘拐されてトラルファマドール星…

『シルトの岸辺』ジュリアン・グラック 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 著者最大の長篇かつ最も劇的な迫力に富む代表作。1951年度のゴンクール賞に選ばれたが、グラックは受賞を拒否、大きな話題を呼んだ。「この小説は、その最後の章まで、けっして火ぶたの切られない一つの海…

『ツァラトゥストラ』フリードリヒ・ニーチェ 感想

こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 無限にゆたかな生命の海にふかく見入って、意志の哲学を思索し、「永劫回帰」の戦慄に耐えて存在の実相に徹する人間像への希望をうたうニーチェ。近代の思想と文学に強烈な衝撃を与えた彼の、今日なお予言…

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