RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

『動物農場』ジョージ・オーウェル 感想

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こんにちは。RIYOです。

今回はこちらの作品です。

 

ジョージ・オーウェル動物農場』です。

人間たちにいいようにされている農場の動物たちが反乱を起こした。老豚をリーダーにした動物たちは、人間を追放し、「すべての動物が平等な」理想社会を建設する。しかし、指導者となった豚たちは権力を欲しいままにし、動物たちは前よりもひどい生活に苦しむことになる……。
ロシア革命を風刺し、社会主義ファシズムを痛撃する二十世紀のイソップ物語

この物語は、1917年の二月革命に始まり、1943年末のテヘラン会談に至るまでの、スターリン体制を風刺したものです。

<人物>
メージャー爺さん:レーニン
ナポレオン:スターリン
スノーボール:トロツキー
九匹の猛犬:国家秘密警察
ボクサー:トハチェフスキー
羊たち:青年共産主義同盟
ジョーンズ氏:ロシア皇帝
ピルキントン:イギリス
フレデリック:ドイツ

<事件>
スノーボールの逃亡:トロツキーの亡命
風車の建設:産業5ヵ年計画
フレデリックとの商取引:独・ソ不可侵条約
ピルキントンとナポレオンのトランプ:テヘラン会談

 

これは寓話として描写されている為、他の独裁政権にも当てはまるのでは、とお考えになると思いますが、まさにその通りです。独裁政権における権力の在り方、民衆の動き、それぞれ似たような行動を起こしています。ジョージ・オーウェルはあくまでスターリニズムの批判で創作しましたが、その裏にある「権力に囚われる人間」を描いてしまったのかもしれません。

 

「行動の作家」といわれる彼の姉妹作とも言われる作品『一九八四年』があります。これは動物農場のあとの時代として、革命が失敗した未来の風刺です。ともに言えることですが、彼には共産主義とは社会主義という仮面を被ったファシズムであると見えていました。事実そういった苦しい生活を民衆は耐え、暮らしていました。彼は権力機構に抗うのは民衆のチカラであると信じていました。むしろ、それしか手法はなかったのです。

 

それがペレストロイカ以降、文学のチカラが再び呼び起こされます。ジョージ・オーウェルの禁書も解禁され、ある意味スターリニズムに全責任をなすりつけ現権力機構を信望させるよう試みているのです。そこで実際に行動を起こしたのが、ウラジーミル・ソローキンです。

riyoriyo.hatenablog.com

以前感想を書きました。この作品は民衆にすんなりとは受け入れられませんでした。権力機構から民衆への圧力(プロパガンダ)で支配されており、ファシズムでの美徳が根付いてしまっていたのです。こういったメスを入れる文学を受け入れる民衆のチカラこそ、ジョージ・オーウェルが待っているものではないかと思います。

 

作品自体は寓話で描かれていますので読みやすいので、ぜひ読んでみてください。

では。

 

 

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