RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

『ポーカー・レッスン』ジェフリー・ディーヴァー 感想

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こんにちは。RIYOです。

今回はこちらの作品です。

 

ボーン・コレクター』のリンカーン・ライム・シリーズが有名なジェフリー・ディーヴァー。本書は短篇集です。16作品、これら全てにどんでん返しがあります。騙されるものか、という思いが読み進めるにつれ騙されるのが快感に変わる。それほどまで見事な作品集です。
 
中でもお勧めは3作品。
・ウェストファーレンの指輪
・恐怖
・遊びに行くには最高の街
 

ウェストファーレンの指輪

100年以上前のロンドン。主人公で泥棒のグッドキャッスルと相対するのはあのホームズ。あの時代だからこそのやり取り、駆け引き。ハラハラするどんでん返しは見事のひとこと。
 

恐怖

巻末に『「恐怖」について』という解説が入るほど熱のこもった作品。元モデルでデザイナーの見目絢爛なマリッサは最近よい関係になってきたアントニオとドライブに出かける。そして行き先は教えてもらえない。迫りくる恐怖はどう受け止めればよいのか。
 

遊びに行くには最高の街

ペテン師リッキーが入り浸っているハニーの安酒場で二人の男の口論が始まる。耳を傾けペテンで一儲けしてやろうと近づくが。ペテンが入り乱れてどんでん返しが繰り返され、どれが表だったかもはやわからない。最後の1ページまで油断できません。
 

ストーリーテリングにおける恐怖

ジェフリー・ディーヴァーはとても緻密に「恐怖」というものを考えています。

私はサスペンス作家であって、哲学者でも精神分析医でもない。興味があるのは、ストーリーテリングに関わる恐怖だけだ。

あくまでもエンタメに徹して、その質をできる限り高めようとするからこそ読み手を引き込み、描く世界に引き込み、楽しませてくれるのだと思います。

 

彼は「五種類の恐怖」を盛り込んでいると言います。
・未知のものに対する恐怖

・他人に生死をコントロールされる恐怖
・自分をコントロールできなくなった他人という恐怖
・自分がコントロールを失う恐怖
・恐怖を連想するシンボル

 

恐怖を含むエンタメ作品は数ありますが、ここまで計算高く読者を恐怖に導いてくれる作家はいないのではないでしょうか。

ミステリがお好きな方は、ぜひ。

では。

 

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