RIYO BOOKS

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主に本の感想文を書きます。海外文学が多めです。

読了

『方法序説』ルネ・デカルト 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト。「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今…

『タルチュフ』モリエール 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 金満家のオルゴンは、自称零落貴族のタルチュフを信頼して家政全般をまかせ、娘と結婚させようとまでする。タルチュフはといえば敬虔な信心家をよそおってオルゴンをたぶらかし、財産横領を策し、妻にも言い…

『ピーター・パン』ジェームズ・バリー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 人間と妖精の合いの子で永遠に子供のままのピーターは、生れて7日目に窓から逃げ出して小鳥や妖精たちの仲間入りをし、不思議な冒険の旅に出る……。幻想の世界の中でさまざまな経験をしながら、楽しく飛び歩…

『阿Q正伝』魯迅 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く『狂人日記』。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたや…

『優雅な獲物』ポール・ボウルズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 カポーティ、マキナニー、オーネット・コールマン、ベルトリッチ……遥かモロッコから、現代芸術に常に豊かな霊感を送り続けるアメリカ文学界の隠者。80年代に入り、ブームとも言える再評価が行われ、全作品が…

『病気の通訳』(停電の夜に)ジュンパ・ラヒリ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 闇につつまれたキッチンをほのかに照らす蝋燭の灯り。停電の夜ごと、秘密の話を打ち明けあった二人は、ふたたびよりそって生きることができるのか。──表題作ほか、O・ヘンリー賞受賞の「病気の通訳」等全九…

『闇の奥』ジョゼフ・コンラッド 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 アフリカ奥地の貿易会社出張所にやってきた船乗りマーロウが耳にしたのは、最奥部の出張所をあずかる腕ききの象牙採取人クルツの噂だった。折しも音信を絶ったクルツの救出に向かうマーロウ一向の前に、死と…

『黄金虫変奏曲』リチャード・パワーズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。1957年、遺伝暗号の解…

『赤い髪の女』ヤン・ウォルカーズ 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 ソロモンの雅歌にある輝く小麦のあいだに茶色の豆を置いたようにそばかすの散らばる彼女の胸部は、なだらかな曲線を描き、その下で少しへこんでから、ふたたび少女の小さな乳房のような弾力のある丘をつくっ…

『林檎の樹』ジョン・ゴールズワージー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 銀婚式の日、妻と共に若い日の思い出の地を訪れた初老のアシャーストの胸に去来するものは、かつて月光を浴びて花咲く林檎の樹の下で愛を誓った、神秘的なまでに美しい、野生の乙女ミーガンのおもかげ、かえ…

『青い麦』シドニー=ガブリエル・コレット 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ブルターニュの海岸に毎年避暑にやって来る16歳の少年フィルと清純な少女ヴァンカは、芽ばえ始めた異性愛にとまどう。フィルは知り合った美しい中年女性の別荘を訪れ、はじめて時間をすごすが、ヴァンカは…

『哀詩 エヴァンジェリン』ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十八世紀半ばの北米。英仏の植民地争奪戦により引き裂かれた恋人たちが、互いを探し求め、すれ違う悲しい運命を描いた物語詩。 十七世紀末よりイギリスとフランスによって引き起こされた英仏植民地戦争は、…

『孤独な散歩者の夢想』ジャン=ジャック・ルソー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせ…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 第三次対戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた〈奴隷〉ア…

『エッフェル塔の潜水夫』ピエール=アンリ・カミ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 セーヌの川底からお化け潜水夫に水死体が運び去られた。それを目撃したヴァランタン・ムーフラールも水死体となって、所もあろうにエッフェル塔の上に現われ、おまけに幽霊船『飛び行くオランダ人』号船長の…

『現代日本の開化』夏目漱石 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 圧倒的に優位な西洋文明を相手に漱石は「自己本位」の立場を同時代のだれにもまして痛切に生きた。その苦闘の跡を示す『現代日本の開化』『私の個人主義』などの講演記録を中心に、かれの肉声ともいうべき日…

『夜想曲集』カズオ・イシグロ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ベネチアのサンマルコ広場で演奏するギタリストが垣間見た、アメリカの大物シンガーとその妻の絆とはーーほろにがい出会いと別れを描いた「老歌手」をはじめ、うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルの…

『じゃじゃ馬ならし』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 美人だが、手におえないじゃじゃ馬むすめカタリーナが、男らしいペトルーキオーの機知と勇気にかかって、ついに可愛い世話女房に変身ーー。陽気な恋のかけひきを展開する『じゃじゃ馬ならし』。 執筆時期は…

『ロミオとジュリエット』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 Two households, both alike in dignity,In fair Verona, where we lay our scene,From ancient grudge break to new mutiny,Where civil blood makes civil hands unclean.From forth the fatal loins of t…

『ヴェニスの商人』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしま…

『二人の貴公子』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 古代ギリシアを舞台に、従兄弟同士の騎士が王女の愛を競い決闘する。新たにシェイクスピアの作品と認定された傑作戯曲!人間の運命がもたらす悲哀を謳い上げた五幕の悲喜劇。 近年の研究により、ウィリアム…

『エドワード三世』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 百年戦争の最中、美女の誉れ高い伯爵夫人に恋い焦がれるエドワード三世の様と騎士道の美徳を称えた歴史劇。 ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)は、エリザベス女王一世の統治下における宮内長官によ…

『あらし』(テンペスト)ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 奸悪な弟に領地を奪われ、娘ミランダと共に絶海の孤島に漂着したミラノ公プロスペローは、魔法の力を究め弟の船を難破させたが……シェイクスピア最後の傑作。 野心溢れる実弟アントーニオーとナポリ王アロン…

『飛ぶ教室』エーリッヒ・ケストナー 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見…

『サロメ』オスカー・ワイルド 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 妖しい美しさで王エロドの心を奪ってはなさぬ王女サロメ。月光のもとでの宴の席上、七つのヴェイルの踊りとひきかえに、彼女は預言者ヨカナーンの生首を所望する。幻想の怪奇と文章の豊麗さによって知られる…

『暗い絵』野間宏 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 野間宏(1915-1991)は、第二次世界大戦争直後の文学における草分けとして、そして第一次戦後派の代表作家として、世に知られています。武田泰淳、埴谷雄高、椎名麟三、梅崎春生などと肩を並べ、戦前から戦…

『海からの贈物』アン・モロー・リンドバーグ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 女はいつも自分をこぼしている。そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。い心地よさそうに掌に納まり、美しい螺旋を描く、この小…

『地獄の季節』アルチュール・ランボオ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 16歳にして第一級の詩をうみだし、数年のうちに他の文学者の一生にも比すべき文学的燃焼をなしとげて彗星のごとく消え去った詩人ランボオ。ヴェルレーヌが「非凡な心理的自伝」と評した散文詩『地獄の季節…

『アンセム』アイン・ランド 感想

こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説。集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、…

『アルケミスト』パウロ・コエーリョ 感想

こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越…

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